中期経営計画(2021年 - 2023年)

当社グループは、「筋肉質な企業体質への変革」と「事業ポートフォリオの転換」を基本戦略にした3か年の中期経営計画(2021年~2023年)に取り組んでおります。初年度である2021年度は、主に構造改革に取り組み、「筋肉質な企業体質への変革」に向けて大きく前進いたしました。事業面では、新型コロナウイルス感染症の影響により変化した市場ニーズを取り込むことができました。その結果、中期経営計画の最終年度となる2023年度の業績目標である連結営業利益を2年前倒しで達成したことから、連結業績目標を再設定しました。あわせて、「既存事業」「新興国」「新領域」としてスタートした戦略区分については、「既存事業」のなかでも今後の成長を見込める市場や新たに成長可能性がある分野が見えてきました。「事業ポートフォリオの転換」の推進に向け、戦略区分を製品別からビジネス分野毎に「Visual Communication(ビジュアルコミュニケーション)」「Digital Fabrication(デジタルファブリケーション)」「Dental(デンタル)」「Service, Software & Others(サービス・ソフトウェア&その他)」の4つに見直し、「成長領域」と「安定領域」を明確化します。成長領域へ積極的に経営資源を配分していくことで、事業成長を図ってまいります。

基本方針

真に“創造・BEST・共感”のRoland DGに生まれ変わる

 

筋肉質で強い組織へ進化し、新たなビジネスの山を創り出す

基本方針

基本戦略

基本戦略

筋肉質な企業体質への変革

競争力の強化と事業環境の変化に柔軟に対応するべく、構造改革に取り組みます。2021年3月には本社において早期希望退職を実施し、人員の適正化を図りました。また、国内外における経費削減や生産拠点の集約などの構造改革を実行し、約20億円の固定費削減を目指すとともに、社内プロセスを徹底的に見直し、業務の効率化と品質の両立を図ることで、事業成長の基盤を固めてまいります。

国内外における経費削減や生産拠点の統合により、約20億円の固定費削減を目指す

固定費削減目標

1. 生産:製造拠点の集約

  • 量産機能のタイへの完全移管
  • 日本のマザーファクトリー化
  • サプライチェーン機能のタイ移管

 

2. 本社:人員適正化、経費削減

  • 早期退職者募集
  • 継続的な経費削減
     

3. 海外販売子会社:地域別再編、経費削減

  • 各地域単位での組織再編・効率化
  • オンライン・リモートを活用した販売費用の見直し

財務戦略および業績計画

収益性の最大化を図るとともに、在庫削減などを通じたCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)※を改善することで、キャッシュ創出力を高めていきます。キャッシュは成長領域へと配分するとともに、M&Aやアライアンスを含めた“+α”の成長投資へと活用します。

※CCC…仕入れから販売にともなう現金回収までの日数。資金効率の指標。

2020/12期
(実績)
2023/12期
(当初計画)
2023/12期
(見直し後計画)
売上高 347億円 480億円 540億円
営業利益 5億円 60億円 80億円
営業利益率 1.4% 12.5% 14.8%
ROE 1.0% 15.0% 17.0%
ROIC 0.6% 15.0% 15.0%
CCC 141日 120日 120日
為替レート USD 106.83円 100円(想定) 113円(想定)
EUR 121.86円 125円(想定) 128円(想定)

事業ポートフォリオの転換(2022年2月見直し)

Visual Communivation(VC)
印刷対象物、インクの多様化により、屋内外の装飾、店舗内装など、集客に関わるあらゆるシーンの演出にインクジェットプリンターの活用が広がっています。当社では、この消費者の視覚に訴えることを「Visual Communication」と定義しています。また、VCは従来の低溶剤系インクジェットプリンター「VC-Sol」、その他プリンター「VC-Other」で構成し、新市場開拓と顧客基盤の強化を図ります。

 

戦略

  • 溶剤系インクジェットプリンターではNo.1ポジションを堅持
  • その他インクタイプにてシェアを獲得、新興国でのシェア伸長
  • インクの多様化により、将来の新用途・新市場開拓のための基盤を構築

Digital Fabrication(DF)
当社製品のコンセプトである「多品種少量、小型サイズ、オンデマンド、簡単操作、高品位」が活きる分野。近年急拡大する、1人ひとりの顧客ニーズに合わせたパーソナライズ需要や、ニッチなニーズに応えるためのカスタマイズ需要などに対して、多品種少量をオンデマンドに生産するためのプリンターやカッティングマシン、3Dものづくり製品群を小規模事業者(スモールビジネス)やインターネット通販事業者、小売事業者などに向けて提供することで、新用途・新市場の創出を目指します。

 

戦略

  • 従来とは異なる顧客層に向けたチャネル構築やマーケティングをグローバルで展開
  • 外部パートナーとの協力やCo-Creation活動による、ラインナップ製品の拡充

Dental
従来、「工作機器」に含まれていたデンタル加工機を独立して区分。2021年のデンタル加工機初号機を発売以降、欧米や日本など先進国を中心に市場拡大を推進してまいりました。近年では、新興国地域におけるデジタル化が加速していることから、販売機会が拡大しています。Dentalを今後の当社事業の柱として育成してまいります。

 

戦略

  • 先進国(ラボ)におけるポジショニングを維持
  • 新興国市場において販路を強化
  • 歯科クリニック市場への拡大や、用途拡大(デンチャー・インプラントなど)によりさらなる成長を目指す

Service, Software & Others
サービスパーツや保守費用に加えて、ソフトウェアによるコネクテッド関連サービスの提供によりSaaSビジネスの確立を目指します。

 

戦略

  • 顧客のダウンタイム削減と当社の収益性改善
  • Roland DG Connectの展開による、顧客との接点確立
  • ソフトウェア(SaaS)など新しい価値提供や収益機会を創出するための種まき

製品カテゴリ 新区分一覧

製品カテゴリ 新区分一覧

成長領域の比率を拡大

成長領域の比率を拡大

配当政策

当社は、株主の皆さまに対する利益還元を経営の重要課題と位置付け、持続的な成長と企業価値向上に向けた投資やリスクに備えるための財務健全性とのバランスを考慮した上で、業績を勘案しながら安定した配当の維持に努めてまいります。

具体的な基本方針としましては、連結利益に対する配当性向30%もしくは株主資本配当率(DOE)2%以上の両基準で算出した数値のいずれか高い金額を基準に、安定した配当を継続的に実施することを目標として、今後の事業展開を総合的に勘案の上、決定したいと考えております。